Daily JCJ
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日本ジャーナリスト会議(JCJ)のブログです。
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【おすすめ本】方方著 飯塚容+渡辺新一訳『武漢日記 封鎖下60日の魂の記録』─地元の女性作家が圧力にめげず、弱者に寄り添い告発する真実=永田浩三(武蔵大学教授)
中国で真実を語るのは困難だとよく語られる。しかし本当にそうか。本書は、ひとりの女性作家が、封鎖された都市で2ヶ月にわたって熱い思いをブログに綴り、世界に発信した籠城記だ。 方方は2歳から今日まで62年間武漢で暮らす生粋の武漢人。長江に面し東洋のシカゴと呼ばれる人口1100万の巨大都市で、ウイルスは猛威を振るった。一家全滅もあり、団地の階段から遺体を担いで下ろす警察官は涙をこぼした。市民の多くは心に傷を負った。 著者の批判の矛先は、感染爆発を隠蔽する党幹部やメディアに向かう。..
おすすめ本
JCJ
2020-12-17T09:40:13+09:00
方方は2歳から今日まで62年間武漢で暮らす生粋の武漢人。長江に面し東洋のシカゴと呼ばれる人口1100万の巨大都市で、ウイルスは猛威を振るった。一家全滅もあり、団地の階段から遺体を担いで下ろす警察官は涙をこぼした。市民の多くは心に傷を負った。
著者の批判の矛先は、感染爆発を隠蔽する党幹部やメディアに向かう。「職務怠慢の連中に対して、私たちは追及の手を緩めてはいけない」。
ヒト―ヒト感染を最初に内部告発した医師は死んだ。市民は「遺された 家族や子どもは我々が面倒を見るぞ!」と叫び、 亡くなった時間に灯りを消し、夜空に向かって懐中電灯やスマホの光の束を送り追悼した。心の深くに沁みる光景だ。
ブログは、何度も削除され閉鎖されたが、読者たちは消される前にコピーし拡散した。検閲をしのぐネットワークが生まれた。「私たちはネット空間に場所を作り、一緒に大泣きしよう!」
黙ってはいられない。発信をやめるものか。「沈黙は虚言に等しい」とのヴィクトル・ユーゴーの箴言が著者を励ました。
小説家とはどんな存在なのか。方方はこう定義する。落伍者、孤独者、 寂しがり屋に、いつも寄り添うもの。溺れかかった時に縋る小枝。決して強者、勝者のものではない。これはジャーナリズムとも重なる言葉だ。
第3波に翻弄される日本において、孤立や排除ではなく、弱い人を守り共に生きのびるための必読の書だ。(河出書房新社1600円)
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【時事マンガ】国民を無視するガースー政権=画・八方美人<br />
時事マンガ
JCJ
2020-12-16T08:37:11+09:00
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【大阪都構想】 住民投票 市民の良識 土壇場で作動=幸田泉
政令指定都市の大阪市を廃止して特別区に分割する「大阪都構想」は、11月1日の住民投票でまたもや「反対多数」となった。5年前の最初の住民投票は投票率66・83%、賛成69万4844票、反対70..
関西
JCJ
2020-12-15T01:00:00+09:00
政令指定都市の大阪市を廃止して特別区に分割する「大阪都構想」は、11月1日の住民投票でまたもや「反対多数」となった。5年前の最初の住民投票は投票率66・83%、賛成69万4844票、反対70万5585票。今回は投票率62・35%、賛成67万5829票、反対69万2996票。住民投票を取り巻く状況は5年前と比べ、いくつかの点で変化したが、結果は非常によく似た「僅差で否決」だった。
ムクッと起きる
大阪市を廃止して大阪府に権限を集中させる大阪都構想は、松井一郎・大阪市長や橋下徹・元大阪市長らが、それぞれ大阪府議、大阪府知事時代に設立した地域政党「大阪維新の会」(以下、維新)の党是である。つまり、大阪都構想は「大阪府の真ん中でデカい顔している大阪市をつぶす」という政治家たちの野望から生まれた構想であって、大阪市民が「政令指定都市をやめたい」とか「四つか五つに分割してほしい」と希望していたわけではない。だから、大阪都構想はどんな美辞麗句で飾り立てても、結局「押し売り」なのだ。
維新は大阪府内の選挙でほぼ勝ち続けているにもかかわらず、住民投票は何度やっても否決されるのは、「いらんもんはいらん」という市民の良識が土壇場で作動するからにほかならない。
大阪市内の選挙の投票率は50%前後なので、有権者約220万人のうち約100万人は政治的に「寝ている人々」である。ところが住民投票となると、このうち20万~30万人がムクッと起きて投票所へ向かう。そしてその多くが「反対票」を投じる。「これを買えば人生すべてうまくいく」と霊感商法まがいのセールストークを展開する押し売りを追い払うためだ。この行動パターンを取る人々が、結果的に大阪市を救っている。
選管が「廃止」明示
「2度目の否決」となった具体的要因としてはまず、大阪市選挙管理委員会が「住民投票は大阪市を廃止するか否か」を問うものだとはっきりさせたことが挙げられる。2015年の最初の住民投票は「特別区設置住民投票」という名称だったのを、今回は「大阪市廃止・特別区設置住民投票」とした。5年前の住民投票の際、反対派が「大阪市が無くなる」と訴えたのに対し、賛成運動を率いた維新代表(当時)の橋下・大阪市長(当時)は「大阪市は無くならない、大阪市役所が無くなるだけ」とひどい詭弁を弄した。以来、維新政治家たちはこの5年間、「大阪市は無くならない。反対派が不安を煽っている」などと真っ赤な嘘を吐き続けてきたが、選管の判断で「大阪市廃止」が投票用紙にも書き込まれ、投票を周知するための看板、垂れ幕、ポスター、地下街などでの放送でも「大阪市廃止」の文言が登場。ようやくこの当たり前の真実を土台にして賛否の論戦ができるようになった。
学会票も割れる
また、5年前の住民投票では事実上、「反対」の立場で動いた公明党は、維新との政治的駆け引きの末、屈服させられる形で「賛成」を表明するに至ったが、支持母体の創価学会の会員は公明党の方針に従わなかった。大阪市内で12万~13万票と言われる創価学会票はほぼ真っ二つに割れ、ギリギリのところで大阪市廃止を食い止めるというとんでもないバランス感覚を発揮した。
住民投票戦では、政党関係者だけでなく、多くの市井の人々が「いてもたってもいられない」とボランティアで走り回った。マスコミ報道では大阪都構想は政治闘争の面ばかりが強調されるが、市民生活をかけた「権力VS市民」の戦いが確実に存在していた。
住民投票で2度否決されても「日本維新の会」の国会議員は「3度目に挑戦する」などとツイッターで発信し、松井市長は条例化によって大阪市の都市計画権限を大阪府に移す方針を表明。大阪市の住民自治は引き続き存亡の危機にある。
大阪市民が今から取り組むべきは、次の市長選挙で政党候補ではない真の「市民候補」を立てる道を模索することだ。党利党略優先の維新候補と住民自治優先の市民候補との戦いに持ち込めば、大阪市長の座を維新から奪還するのは夢ではない。
幸田泉(ジャーナリスト)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
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【スポーツ】 バスケもギャンブル化=大野晃
批判の多いサッカーくじの対象を、バスケットボールのBリーグにも拡大する法改訂が決まった。 多くの反対を押し切って強引に導入された、文科省が胴元の公営ギャンブルは、20年余りを経て、反省のないまま対象競技を広げ、試合ごとの賭けなどを認める、より射幸心をあおる姿に変質する危険が強まった。 2002年ワールドカップ開催をにらみ、スポーツ振興を名目に、Jリーグを対象にして、全試合の勝ち負けを予想する形で始まったサッカーくじだが、当たりが少ないことなどから売り上げが伸びず..
スポーツ
JCJ
2020-12-14T01:00:00+09:00
多くの反対を押し切って強引に導入された、文科省が胴元の公営ギャンブルは、20年余りを経て、反省のないまま対象競技を広げ、試合ごとの賭けなどを認める、より射幸心をあおる姿に変質する危険が強まった。
2002年ワールドカップ開催をにらみ、スポーツ振興を名目に、Jリーグを対象にして、全試合の勝ち負けを予想する形で始まったサッカーくじだが、当たりが少ないことなどから売り上げが伸びず、スポーツ助成が先細りとなり、一時は廃止の声もあがった。
それでも、予想を必要としない宝くじのような形など、さまざまな商品が売り出されたが、売り上げは頭打ちで、プロ野球を含め、多くの競技への拡大が企図されていた。
しかし、ギャンブルだから、八百長の誘いなど競技者への悪影響が懸念され、二の足を踏む競技が多かった。はずれた試合結果に怒って、競技者が中傷される事態も海外では報告された。
くじ不振の背景には、スポーツ振興は国が責任を果たすべきとの国民意識の高まりがあり、国民のスポーツ権を明記したスポーツ基本法が生まれた。
しかし、国の振興策は五輪でのメダル獲得に偏重して、国民全体のスポーツの発展は、おざなりにされてきた。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策で観客制限などに追い込まれたJリーグでは、少なくないクラブの存続が危ぶまれ、Bリーグは8割近いクラブが赤字の危機にあるという。
とりわけ、東京五輪後の国のスポーツ振興策が見えず、公営ギャンブルからの特別の支援を期待しても不思議はない。
スポーツはギャンブルに頼れ、と言わんばかりの国の姿勢を日本維新の会や立憲民主党までが手助けして、国内競技の将来を危うくしている。
弱みにつけ込むような、競技者と競技を歪める恐れのある公営ギャンブル化の促進は、カジノ誘致と同様に、健全な国民生活の発展を阻害する
大野晃(スポーツジャーナリスト)
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【今週の風考計】12.13─コロナ感染拡大の火に油を注ぐ追加3119億円の無謀
■コロナ感染拡大を防ぐ「勝負の3週間」最終日が16日にやってくる。だが12日、1日の新規感染者が3041人まで拡大し、最多を更新する事態に至った。重症患者も増え、北海道と大阪府には医療施設へ自衛隊の看護師まで派遣せざるを得なくなった。■医療崩壊の危機は、日に日に増している。この間の「ガースー」首相の無策に対する怒りは、募るばかりだ。謙虚に科学者や専門家の意見に耳を傾け、時には厳しい提言も尊重する姿勢が全く感じられない。 米国やブラジルではコロナ禍の悲惨な事態が続く。これも大統..
【今週の風考計】
JCJ
2020-12-13T07:55:55+09:00
■医療崩壊の危機は、日に日に増している。この間の「ガースー」首相の無策に対する怒りは、募るばかりだ。謙虚に科学者や専門家の意見に耳を傾け、時には厳しい提言も尊重する姿勢が全く感じられない。
米国やブラジルではコロナ禍の悲惨な事態が続く。これも大統領が科学者の助言を軽視し、科学的根拠のない言葉や対策を重ねてきたからだ。
■いま日本では医者や医療従事者、さらには専門家・有識者で組織された政府分科会までが、人の出入りを抑え感染を防ぐために、「Go Toトラベル」の一時停止を提言している。それにも関わらず、追加の3119億円もの予備費支出を決め、アクセルを吹かすというのだから呆れる。
その理由が「Go Toトラベルによりコロナ感染が拡大したとのエビデンス(根拠)は存在しない」からだという。
■だが11月下旬には、東京大学など研究チームが「Go Toトラベル利用者はコロナへの感染リスクが高い」という調査報告を発表した。
また英国の科学者たちも、コロナ・ウイルスのDNA分析をしたところ、旅行によって国の内外から持ち込まれたと結論づけ、警鐘を鳴らしている。
こうした科学的根拠が出てきたにも関わらず、まだGo Toを続けるのなら、人命は二の次だと言っているのも同然ではないか。
■安倍・菅政権へと続く今の政治には、慰安婦問題への無反省、公文書改ざんや虚偽答弁の連発、歴史や科学を無視する「反知性主義」がはびこり、人命まで軽視する事態にあるのを直視しなければならない。
日本学術会議が推薦した会員候補6人の研究者を、政権の恣意的な選別で任命拒否する事態は、その典型ではないか。しかも公開された内部文書には「外すべき者(副長官から)」との文字が手書きで記され、その下の部分は黒塗りになっている。
都合の悪いエビデンスは、ノリ弁にして隠ぺいしてしまう。国会での説明も拒否し、事実すら抹消しかねないところまで来ている。
政府の諮問会議にしたって、政権の志向する政策や方針に沿うような有識者を最初から組み入れ、諮る以前に方針が決まっているケースすらある。
■「国民のために働く内閣」と、大見得を切った「ガースー政権」、24日のクリスマスイブには発足100日を迎える。国民へのプレゼントがコロナ感染拡大では、支持率が43.1%、2カ月連続して急落するのも無理はない。(2020/12/13)
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【東京五輪・パラリンピック】 IOC 五輪中止を打診か 報じない大手メディア 自らスポンサーでは=本間龍
電通や東京五輪組織委員会内の協力者から、IOC(国際オリンピック委員会)が日本政府、組織委、電通に対し、東京五輪中止の打診をしたという驚くべき内部情報が入ったのは、10月20日だ..
東京五輪・パラリンピック
JCJ
2020-12-12T01:00:00+09:00
電通や東京五輪組織委員会内の協力者から、IOC(国際オリンピック委員会)が日本政府、組織委、電通に対し、東京五輪中止の打診をしたという驚くべき内部情報が入ったのは、10月20日だった。
IOCのバッハ会長が、予定通り菅義偉総理大臣との11月16日の会談で正式に伝達したかは分からない。仮に伝達したとしても日本政府が直ちにそれを発表するかどうかは不明だ。正式発表は来年1月頃という情報が流れている。
その情報が入る前の9月中は、バッハ会長やコーツ副会長は、盛んに東京五輪の実施を吹聴していた。コロナがあっても五輪はやれる、というような楽観的見通しであり、それを受けて日本側の森喜朗組織委会長や菅首相も、五輪は必ずやるという発言を繰り返していた。それがなぜ急に変わったのか。
コロナ猛威で転換
それは、欧州のコロナ感染者が、10月の第2週以降から爆発的に増え始めたからだ。その増加は凄まじく、11月に入ると、主要国のほとんどで外出禁止令やロックダウンが実施された。
第一波の感染爆発の際に優等生であったドイツも例外ではなく、コロナ対策の司令塔である保健相までもが感染した。
IOCの本部はスイスのローザンヌにあるが、スイス国内の感染者数も爆発的に増加している。IOC幹部もコロナの猛威を目の当たりにして、認識を改めざるを得なかったに違いない。
32年再度立候補
10月21日に私がこの情報をツイートし、YouTubeチャンネルで発表すると、予想以上の拡散を見せた。特に反応が早かったのは海外メディアで、米ブルームバーグ、米AP通信、仏ルモンド、独国営第一放送(ARD)などから相次いで取材が入った。国内では日刊ゲンダイがすぐに私に取材し、五輪中止の見通しと2032年への再度の立候補という、電通内で検討されている仰天プランもすっぱ抜いて、さらに話題を集めた。
だが、国内で沸き立ったのはゲンダイとネットメディアだけで、11月になっても大手メディア(全国紙、テレビ局)はスルーを決め込んでいる。全国紙5紙はいずれも五輪スポンサーになっており、新聞社とクロスオーナーシップで結ばれているテレビ局も、間接的に五輪翼賛側に属しているため、中止可能性を深追いしたくないのだ。
仕切る電通に忖度
ではなぜ大手メディアはこの重要情報をスルーするのか。それは、記事にするためには私に取材しなければならず、そうなると情報元が組織委内部と電通であると書かなければならなくなるのが嫌なのだ(メディアは電通の名を極力報道したくない)。さらに、組織委の側に立ってこの情報を否定すると、もし本当に中止になった場合、取り返しがつかなくなる。
五輪推進の立場からは真っ先にガセネタとして否定したいのだが、私の情報の信憑性を崩す取材力もなく、あからさまに否定もできない。世界中のメディアがどんどん取材に来ているのに、日本国内のメディアが全く動かないのは、異様としか言いようがない。
もちろん、全国紙が中立の立場だったら、そんな心配をする必要はない。ここへ来て、スポンサーになってしまっていることが、まともな報道が出来ない重い足かせになっているのだ。
ちなみに、過去の五輪で報道機関がスポンサーになった例はない。だから今回のように、一社どころか全国紙全部がスポンサーになっているのは、極めて異常な状況なのだ。
伝える責任果たせ
だが日本政府は、「WITHコロナ五輪」などという世迷い言をキャッチフレーズに、徹底した感染予防をすれば五輪が開催出来るようなプロパガンダを展開している。しかし、そのためには莫大な追加予算と人的資源(医療従事者)の確保が必要であり、所詮、絵に描いた餅に過ぎない。
招致時に7千億円としていた開催費は、すでに3兆円を超えると言われ、その大半は国民の税金である。そこにさらにコロナ対策費が青天井で計上されるなど、許されるはずがない。メディアはそのことを国民に伝える責任があり、今それをしなければ、報道機関としての信頼を決定的に失うだろう。
本間龍(著述家)
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
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【沖縄リポート】 「基地追い払って」漆喰シーサー=浦島悦子
11月3日付『沖縄タイムス』は「沖縄防衛局が辺野古新基地建設工事に必要な美謝川水路切替工事に向け、辺野古ダム周辺のボーリング調査に着手していたことがわかった」と..
九州・沖縄
JCJ
2020-12-11T01:00:00+09:00
11月3日付『沖縄タイムス』は「沖縄防衛局が辺野古新基地建設工事に必要な美謝川水路切替工事に向け、辺野古ダム周辺のボーリング調査に着手していたことがわかった」と報じた。
辺野古演習場内の山から大浦湾に注ぐ美謝川(辺野古ダムはその一部)は、河口が埋立予定地に入るため、水路を切り替えなければ埋め立てはできない。沖縄防衛局が当初計画した切替ルートは、名護市条例により市長との協議が必要だ。当時の稲嶺進市長は「新基地阻止」を掲げていた。防衛局は2014年9月、名護市長との協議を必要としないルートに変更したが、当時の(埋め立てを承認した)仲井眞弘多知事でさえ「環境負荷が大きい」としてこれに難色を示したため、設計変更そのものを取り下げた経過がある。
現在ボーリング調査が行われているのは、当初計画のルートだ。この再変更(元に戻す)については県にも、防衛局自らが設置した環境監視等委員会にも諮っていない。自民党政権に親和的な渡具知武豊現市長なら同意を得られると踏んで、市長との協議の前にボーリング調査を行い既成事実を作ろうとしているのだ。
名護市12月議会で野党議員団はこの問題を追及する。私たち市民団体も埋め立て=基地建設阻止の要の一つであるこの問題に世論を喚起し、市長の不同意を求めていく。
米大統領選で民主党のバイデン氏が勝利を確実にしたが、バイデン政権になっても、米国の沖縄に対する姿勢(というより無関心)はほとんど変わらないだろう。オバマ大統領の誕生に期待して裏切られた経験を持つ沖縄県民は、冷めた目で米日の動きを見ている。
埋立作業船がひしめく大浦湾を望む瀬嵩墓地広場の入口に雌雄の漆喰シーサー(写真)が建った。沖縄アジア国際平和芸術祭2020の一環として、昨年焼失した首里城の破損赤瓦を使い、地域住民や子どもたちが参加して作った。海をにらむシーサーが、軍事基地というマジムン(魔物)を追っ払ってくれるよう願いを込めて。
浦島悦子
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年11月25日号
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【出版界の動き】 コロナ禍による出版業界の大きな変化を読む
●12月4日に『鬼滅の刃』最終23巻が初版部数395万部、『鬼滅の刃外伝』(いずれも集英社)が発売され、書店に多くの読者が殺到する事態となった。3日付の夕刊に全面広告、同4日付の朝刊全国紙には全面広告を4面にわたって掲載。●今年1月から9月にかけての『鬼滅の刃』を含めた、コミックスの店頭販売冊数は前年比160%を超える大幅なプラスとなり、全巻で1億冊・400億円の売り上げとなる『鬼滅の刃』の恩恵であるのは間違いない。●コロナ禍が出版業界にどのような影響をもたらしたか1)感染拡..
出版
JCJ
2020-12-10T01:00:00+09:00
●12月4日に『鬼滅の刃』最終23巻が初版部数395万部、『鬼滅の刃外伝』(いずれも集英社)が発売され、書店に多くの読者が殺到する事態となった。3日付の夕刊に全面広告、同4日付の朝刊全国紙には全面広告を4面にわたって掲載。
●今年1月から9月にかけての『鬼滅の刃』を含めた、コミックスの店頭販売冊数は前年比160%を超える大幅なプラスとなり、全巻で1億冊・400億円の売り上げとなる『鬼滅の刃』の恩恵であるのは間違いない。
●コロナ禍が出版業界にどのような影響をもたらしたか
1)感染拡大による日常生活の激変で出版物への新たな需要が喚起された。公共図書館の休館による需要増も顕著になっている。
2)読者の購買行動が変化し、都市部の書店から郊外型書店など身近な街の中小書店へとシフトし、ネット書店からの購入も大幅な伸びを示している。
3)学参、児童書、テキストなど、休校によって自宅学習に役立つ出版物の伸びが大きい。
4)テレワーク、リモート会議などの働き方の変化に伴い、PC書やビジネス書、就職関連書が伸長している。
5)文芸書と文庫本の売れ行きが顕著である。趣味実用書はゲーム攻略本、お菓子作り本、パズル、脳トレ、ぬり絵関連書は好調だが、旅行ガイド本は半減。
6)ネット書店、電子出版、電子図書館が大幅に伸長し、都市部の書店は苦戦している。
●10月の書籍雑誌販売額1000億円(前年比6.6%増)、書籍536億円(同14.0%増)、雑誌464億円(同0.8%減)、月刊誌382億円(同0.5%増)、週刊誌82億円(同6.4%減)。返品率:書籍32.2%、雑誌41.3%、月刊誌40.6%、週刊誌44.1%。書籍は返品率の大幅改善などにより、近来にない2ケタのプラスとなった。
●2019年度にアマゾンが日本国内で売上げた金額は1兆7443億円。「アマゾン・エフェクト」の影響を最も受けたのが出版業界で、とりわけ書店分野は店数が半減、文教堂GHDは事業再生に追いこまれた。
アマゾンは書籍流通で約2割のシェアを占め、KADOKAWAを始めとして、直接取引出版社は3631社、取次の機能も果たすようになった。アマゾンの出版物販売金額は3000億円近くとなる
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http://jcj-daily.seesaa.net/article/478907753.html
【時事マンガ】 理解できないの 感染対策=画・八方美人
時事マンガ
JCJ
2020-12-09T01:00:00+09:00
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【20年度JCJ賞受賞者スピーチ】 公文書改ざん 取材相手とのせめぎ合い 相澤冬樹さん
赤木雅子さんとわたしが、取材される側の人と取材する側の人間が受賞したことは感慨深い。取材する側と取材される側の考えは決して一致しません。取材する側はなにかに知りたい、出したいと思っている。取材される側は知られたくない、出されたくない。出したい側と出したくない側は、実は永遠に交わらなかったりする。 その時に取材する側が、説得しようとするとたいがい失敗します。そんなことで人の心は動かない。 待つのも大切なのは行動の一つ。相手の人の気持ちがいつか変わ..
20年度JCJ賞受賞者スピーチ
JCJ
2020-12-08T01:00:00+09:00
取材する側と取材される側の考えは決して一致しません。取材する側はなにかに知りたい、出したいと思っている。取材される側は知られたくない、出されたくない。出したい側と出したくない側は、実は永遠に交わらなかったりする。
その時に取材する側が、説得しようとするとたいがい失敗します。そんなことで人の心は動かない。
待つのも大切なのは行動の一つ。相手の人の気持ちがいつか変わるのではないか。自分が変えるのではなく、相手の人が自分で変える。それを待つことができるかどうか。
わたしと赤木さんの間には1年4か月、せめぎあいがあって、今年の3月の「週刊文春」での手記全文公表という記事につながった。わたしは赤木さんを何も説得せず待っただけです。
待った結果、手記が全部表に出て、後は全て利害が一致して協力関係になるかというと、そんなことはない。せめぎあいはいまだに続いている。
つい昨日もある原稿を赤木さんに見せた。それは3月2日に朝日新聞が改ざんの記事を出した後、当時NHKにいた私やNHKの記者がどのように取材したかという部分を描いている原稿です。その原稿をみせたところ、「ここには夫の姿がありませんね。わたしや夫にとっては遠い世界の話に聞こえます」といわれる。
赤木さんが亡くなったという事実は書いていますが、赤木俊夫さんの人となりの部分がほとんど欠落していた。取材している自分たちの目線になって、取材されている人に目線がいっていない。この期に及んでとまだそれに気が付かない自分がいる。
でもせめぎあうのは悪いことではない。
悪いのは、関係が断ち切れることです。一切のやりとり、関係性が無くなると話がならなくなる。せめぎあっているうちはお互いに相手が何を考えているのかがわかるし、また話が進行する。
多分、せめぎあったまま裁判にすすみ、裁判が終わっても関係性は変わらない。わたしは初任地が山口でしたが、そこでできた人間関係はいまだに生きている。
ちゃんとつながった人は永遠につながっていきます。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号
赤木雅子さんからのメッセージ
手記を公表したいと思った時、信頼できる記者に出会えるかが重要です。
わたしは運がついていました。相澤さんに出会うことができました。
その上、相澤さんには「週刊文春」がついてきました。
私は運がついています。長い裁判もうまくいく気がします。
赤木雅子
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【おすすめ本】 辻元清美『国対委員長』―「民主主義を守る歯車」としての自覚=星浩(『NEWS23』キャスター)
国会対策委員長は交渉事のまとめ役だ。与野党が全面対決した時の折衝から部屋割り、公用車の配分まで。本書は、「一 強」を誇った安倍政権下で野党・立憲民主党の国対委員長を2年間務めた辻元清美氏の奮戦記だ。 自民、公明両党が圧倒的多数を握る中で、野党が政権与党に対抗するのは容易ではない。辻元氏は、野党を束ねたうえで「調査力と論戦力」で政権側を追い詰めるしかないと思い定めた。労働法制の規制緩和問題では、野党側が地道な調査を重ねて政府の法案に矛盾があることを指摘。法案の一部を撤回させた..
おすすめ本
JCJ
2020-12-07T01:00:00+09:00
自民、公明両党が圧倒的多数を握る中で、野党が政権与党に対抗するのは容易ではない。辻元氏は、野党を束ねたうえで「調査力と論戦力」で政権側を追い詰めるしかないと思い定めた。労働法制の規制緩和問題では、野党側が地道な調査を重ねて政府の法案に矛盾があることを指摘。法案の一部を撤回させた。
森友問題の公文書改ざんをめぐる攻防の舞台裏も生々しい。国会が改ざん前の「ウソの文書」に 基づいて審議を続けていたことには、自民党議員からも憤慨の声が寄せられた。一方でネット上では辻元氏を誹謗中傷する書き込みが続出する。
それでも辻元氏が戦い続けたのは「国対委員長は立法府を支える柱、民主主義の歯車だ」という自負からだという。国会は憲法で「国権の最高機関」と位置付けられているが、安倍政権下では野党が憲法に基づき臨時国会の召集を求めても無視し、安倍首相が野党の質問にヤジを飛ばすなど、国会軽視が繰り返された。菅義偉政権でも、日本学術会議の会員任命拒否問題では国会への説明責任を果たしていない。
「行政府と立法府との緊張関係を保ち、与党野党がお互いの立場を尊重し、オープンで公平な議論が展開できる、そんな国会を実現する」という理想に向けて辻元氏の奮闘は今後も続く。(集英社新書900円)
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【今週の風考計】12.6─「政治とカネ」の腐敗、虚偽答弁は野放し、コケにされる国会
◆ついに安倍前首相の<桜を見る会・前夜祭>疑惑に、東京地検特捜部は捜査のメスを入れた。政治資金規正法違反の容疑で、「安倍晋三後援会」公設第1秘書への事情聴取のみならず、安倍前首相本人にも要請している。◆時効が成立しない直近の5年間分だけで、参加者の会費で賄えなかった費用計900万円の補填、さらに会費分の収入も含めれば約4000万円が収支報告書に記載されていなかったことになる。 かつ開催場所のホテル側は、補填された金額を記した領収書を、安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」..
【今週の風考計】
JCJ
2020-12-06T07:52:51+09:00
◆ついに安倍前首相の<桜を見る会・前夜祭>疑惑に、東京地検特捜部は捜査のメスを入れた。政治資金規正法違反の容疑で、「安倍晋三後援会」公設第1秘書への事情聴取のみならず、安倍前首相本人にも要請している。
◆時効が成立しない直近の5年間分だけで、参加者の会費で賄えなかった費用計900万円の補填、さらに会費分の収入も含めれば約4000万円が収支報告書に記載されていなかったことになる。
かつ開催場所のホテル側は、補填された金額を記した領収書を、安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」宛てに発行していたことも判明した。
◆6年にわたって秘書が、補填について安倍首相に報告しないできたなど、ありえない。安倍氏自身、参加費の補填が公選法違反の「寄付」行為だという認識があったからこそ、記載しない扱いを是認してきたのは間違いない。
安倍前首相は、国会での珍妙な答弁を1年間も繰り返し、「参加した各個人がホテルに直接払い込んだ。後援会としての収入、支出は一切ない」などのウソをついて国会を愚弄してきた。
◆「きわめて悪質な違反、強制捜査をしてもおかしくない」のは当然。だが安倍前首相は国会招致や委員会での説明すら拒否し、5日の国会閉会で逃げ切ろうとしている。
焦点は安倍前首相に、違反事件に関し「共謀共同正犯」の適用が図れるかどうかだ。特捜部のメンツもかかる。もし適用されて立件され、有罪判決を受けたら公民権が停止される。
◆「政治とカネ」をめぐる腐敗事件は、安倍・菅政権、自民党では後を絶たない。またも自民党の吉川貴盛元農水相が鶏卵生産会社「アキタフーズ」(広島県福山市)の元代表から、在任中に3回にわたって総計500万円の現金を、大臣室などで受け取った疑惑が浮上。
◆「アキタフーズ」の元代表は、日本の養鶏「ケージ飼育」への国際的な批判を抑え込む対策や鶏卵価格が下落した際の補填を図ってもらう目的で贈呈したという。
また彼は、元法相の河井克行被告と妻の案里被告とは懇意で、6年間で約2000万円の政治献金をしている。両被告の参院選買収事件に絡み、関係先として家宅捜索すら受けている。
さらに所有する豪華クルーズ船で複数の農水族議員らを接待、現金を渡した疑いも指摘される。
◆受け取った吉川議員は、昨年の北海道知事選では党道連会長として、菅官房長官の意中の候補だった鈴木直道知事の擁立を主導。また9月の総裁選では、いち早く後継首相に菅官房長官を推し、選対の事務局長まで務めている。
その功が認められ自民党の選対委員長代行に就いたが、自分への疑惑を受けて辞任、二階派の事務総長も返上、不整脈を理由にして入院してしまった。
◆二階派の「政治とカネ」をめぐるスキャンダルが目立つ。買収事件の河井案里議員を始め、カジノ汚職の秋元司議員も二階派。永田町でも眉をしかめる自民党幹部は多い。
強引な選挙戦略も批判を浴びている。山口県での二階派・志帥会と岸田派・宏池会の血肉の争い、宏池会の牙城である広島県では菅首相や二階幹事長とも気脈を通じる公明党が、志帥会の応援を計算に入れ候補者を擁立する。
◆<菅・二階>コンビ政権は、コロナ感染の深刻な事態にもかかわらず、「Go To トラベル」実施を来年6月まで延長、見直しなど視野にない。
さもあろう観光立国を目指す菅首相、全国旅行業協会会長でもある二階幹事長、業界から4200万円もの政治献金を受け、1兆3000億円の税金を「Go To トラベル」に計上するのだから。
◆さらに国土強靭化推進の名目で5年間15兆円の税金を注ぎこむ。その使い途は極めてあいまい、二階幹事長のサジ加減に委ねられている。「税金は使い勝手自由」とばかりに私益化されてはたまらない。<菅・二階>コンビ政権の恐ろしさが身に迫る。(2020/12/6)
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【20年度JCJ賞受賞者スピーチ】 孤塁 双葉郡消防士たちの3・11 「守る人」が守られない 吉田千亜さん=古川英一
吉田さんは、壇上に上がると「話すのが苦手だから書く側に、書くことなら思いが伝えられます」と、はにかんだような表情で話を始めた。「双葉郡の消防士のことを書こうと思ったのは、原発避難の問題の取材で、初期被ばくのデータを双葉消防本部に聞きに行った時、対応してもらった職員の方が、自分の体験を話されたことでした。それがとても壮絶な話で、さらに『みんなの話を聞いてもいいよ』と言って下さったのがきっかけになりました。 2週間に一度、郡山市を起点に双葉消防本部のある浜..
20年度JCJ賞受賞者スピーチ
JCJ
2020-12-05T01:00:00+09:00
2週間に一度、郡山市を起点に双葉消防本部のある浜通りまで山を越えて片道2時間の道を、約1年間通いました。原発事故当時、消防書に勤務していた半数は退職していましたが、66人の方々から話を聞きくことができました」「66人、一人一人の状況は違います。今は北海道に避難して暮らす家族の元にフェリーで通う署員もいます。震災と原発事故の後、問題を克服したり、さらに抱える問題が大きくなったり、いろいろな考え方の人がいます。ですから自分の意見ではなく事実を淡々と書くように努めました。
当時の話を聞くたびに今でも鳥肌が立ちます。福島からの電気を使ってきた関東の人間として加害意識を持ちながら、それでも本を書くこと自体おこがましいという気持ちを持ち続けてきました」「この本で一番伝えたかったことは、消防士が『もっと守られてほしかった』ということです。あの時、消防士たちは自分の命もわからない中で決断をしなければならなかったのです。
そして原発の立地する地域の消防士の方々に、この本を読んで欲しいと思います。地域を守る人が、どれだけ守られていないのか、を」続いて、吉田さんは少し表情を和らげて「一番嬉しかったのは、『父はこれまで事故後の活動を話すことがなかった。その父がこの本を渡してくれた、今度父に会いに行こうと思います』と消防士の息子さんから感想をいただいたことです」と話した。
吉田さんは最後に「人の言葉、人のことを伝えたい。今ある問題をきっかけにして、次の世代につなげていきたいです。消防士の子どもさん、そしてお孫さんに伝えるように」と決意を述べた。静かだけれども、会場の人たちに力強く響く言葉だった。
古川英一
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年10月25日号
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【おすすめ本】 宇田有三『ロヒンギャ差別の深層』「ムスリムとして生きる」権利を蝕む差別への深い考察=藤井満(元朝日新聞記者)<br /><br />』<br />
国際政治や民族・宗教・差別の問題を現実から学べる教科書のような本に仕上がっている。 ミャンマーからバングラデシュに流出したロヒンギャ難民は、「民族紛争」「宗教迫害」と報じられたが、そうした見方こそが問題を深刻化させたと著者は批判する。 ロヒンギャの人々は、「ロヒンギャ民族」ではなく「ムスリムとしてのロヒンギャ」と自らを位置づける。だが国際社会が「民族浄化」などと批判することで、ロヒンギャの一部が民族性を主張し、同じ地域に住む仏教徒との対立が生じた。 ロヒンギャ問題の原因は、..
おすすめ本
JCJ
2020-12-04T01:00:00+09:00
ミャンマーからバングラデシュに流出したロヒンギャ難民は、「民族紛争」「宗教迫害」と報じられたが、そうした見方こそが問題を深刻化させたと著者は批判する。
ロヒンギャの人々は、「ロヒンギャ民族」ではなく「ムスリムとしてのロヒンギャ」と自らを位置づける。だが国際社会が「民族浄化」などと批判することで、ロヒンギャの一部が民族性を主張し、同じ地域に住む仏教徒との対立が生じた。
ロヒンギャ問題の原因は、軍事政権が「仏教徒としてのミャンマー人」への同化政策を進め、ムスリム差別を刺激したことと、ロヒンギャを「バングラからの不法移民」と規定したことにあるという。その結果、ロヒンギャへの差別は、民主化運動で軍政と対峙した人びとにも浸透した。
アウンサンスーチー氏は、ロヒンギャ問題で人権団体から強く批判された。著者はスーチー氏を「人権活動家ではなく政治家」と評する。彼女は現実を改善するためには軍とも妥協するが、いま「ロヒンギャの人権」を叫んでも事態が改善しないのは目に見えている。
軍政以来の差別を見すえ、正しい情報を広め、少しずつ解きほぐすしかない。それができるのは、人気と政治手腕を兼ね備えるスーチー氏しかないと著者は見ている。
日本では、「インパール作戦」「泰緬鉄道」は有名でも、現地人の犠牲には言及されない。日本軍が仏教徒を、英軍がムスリムを自軍に引き入れることで、ムスリム差別の一因を作ったことも報じられない。ロヒンギャ問題は日本の報道の歪みも露わにしている。(高文研2500円)
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http://jcj-daily.seesaa.net/article/478783923.html
【時事マンガ】 7兆円いつどう使うの?<br />=画・八方美人
時事マンガ
JCJ
2020-12-03T01:00:00+09:00
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